教養演習2012量子化学入門06

 今日からMac教室、第一回目はグラフ作成の基礎です。前半はMacを使うための準備作業、後半はgnuplotを使って関数を表示する方法、スタイルの指定、図として保存する方法などを行いました。来週はアニメーションのやり方を解説して1次元波動関数、動径分布関数を描いてもらいます。
 初めてMac教室を使ったけど、いろいろトラブルがあってgnuplotまで辿り着くまでカオスだった笑。Windowsユーザーの彼らには「Mac=めんどくさい」という印象を植え付けてしまったかも。対処したので来週はきっと大丈夫。後半は配布したプリントを見ながら各自進めてもらったけど、さくさく進む学生とそうでない学生の差にわかれてしまったようだ。来週はさくさく学生には発展課題をやっててもらい、そうでない学生をサポートする作戦でいこう。私なんかは式を入力するだけでグラフを描いてくれるなんてすごい!と思ったものだが、今はどうなんだろう。 、、、ターミナルはちょっと無謀だったかな、、、(ボソ)。

教養演習2012量子化学入門05

 今日は第5回目。いよいよ水素原子波動関数についてですが、主な内容は球面調和関数になります。これは半径rが一定でポテンシャルがゼロのときの水素原子の中の電子の運動に対応し、球面上に粒子をポンと置いたとき、ミクロな世界ではその粒子はどの方向に分布(出現)するのか?がわかります。極座標ルジャンドル演算子、変数分離法によりθとφそれぞれの方程式を導きそれらを解くとθとφの球面調和関数が得られます。似たようなことをやって水素原子波動関数を導出するのですが、こちらはスライドで結果のみを説明しました。最後にn,l,mの量子数がそれぞれ電子殻(K,L,M殻)、spd軌道、その添え字のxyzに対応することを説明しました。実際の計算はグラフ演習のところで作図と一緒にやります。来週からはグラフ演習に入ります。

 今日は学生みんなつらそうでした苦笑。本当は球面調和関数の式に実際にlとmの値を入れて計算してもらい、pxやdz^2などの導出を最後の演習問題として考えていたけど、そこまで辿り着かなかった。ここまでやれば講義の目的の1つである「s,p,d軌道はどこからやってきたのか?」の答えに到達するのですが、やはり時間的に無理があったな。これは予定変更してグラフ作成のところでやることにします。これを書いていて気づきましたが、水素原子のエネルギーについて言及するのを忘れていました。あとでちゃんと話さねば。いよいよ来週からはMac教室に移動、まずはグラフ演習からです!

教養演習2012量子化学入門04

 今日は第4回目で、「Schrödinger方程式の導出」と「簡単なモデルを解く(一次元の粒子)」を行いました。前者は去年同様、古典の波の式に、量子論(運動量p=h/λ、エネルギーE=hν)を導入し、位置xで偏微分していくと時間を含まないSchrödinger方程式、時間tで偏微分していくと時間を含むSchrödinger方程式が導かれることを示しました。ここで、”量子力学ででてくる「仮定」は証明できる物ではなく、実験結果と一致するかどうかでその正当性が判断される”ということを説明しました。後半では得られた方程式をさっそく一次元の自由粒子、井戸型ポテンシャルに対して適用し、境界条件と規格化条件から波動関数とエネルギーを計算しました。3つめの「開いた箱の中の粒子」は結果だけ示して終わりました。来週は講義室最後の水素原子波動関数です。

 今日はほとんど板書講義だったので、ノートをとる方も大変だったろう。途中の偏微分や規格化係数を求める積分を計算してもらったけど、出来ない学生は微分積分を忘れているみたい。ここで思い出してくれればこの演習を受けているかいがあるというものだ。トンネル効果の話をもう少ししたかった。来週も時間いっぱいになるだろう。楽しいグラフ作成の演習まであと少し!

教養演習2012量子化学入門03

 今日は量子力学の化学への応用について講義しました。化学結合の古典論と言えるルイスのオクテット則を Cubical Atom モデルで説明してから、ハイトラー・ロンドンが原子軌道関数を使って水素分子のSchrödinger方程式を解き、初めて定量的に共有結合を示したたことを紹介しました(ほんとに紹介だけ)。その後ヒュッケルの分子軌道法とポーリングの混成軌道について話し、その後は主にノーベル化学賞を受賞した人物を順番に紹介していきました。現在はタンパク質やナノ材料などについて量子化学計算が行われており、実際に私がどんな研究を行っているかも話しました。余った時間で来週からやるSchrödeinger方程式の話のために波の式についての解説を行いました。

 今日の話はオクテット則と混成軌道については少し丁寧に説明したけど、その他はただの紹介だけだったので聞いていてつまらなかったに違いない。改善の余地ありです。来週からは板書の講義になるので気合いを入れてやろう。内容はSchrödinger方程式の導出と簡単な例(箱の中の粒子)です。

教養演習2012量子化学入門02

 今日は量子力学の成立過程その2として、「原子の構造」を講義しました。今年は「原子論」の簡単な歴史から始め、アリストテレスの「4大要素」とデモクリトスの「アトモス」の話から、ボイルやドルトンなどの化学者による原子論を経て、量子論による「原子構造」の解明までを説明しました。途中に電子の2重スリット実験の動画を見せ、お手軽光干渉セット(レーザーポインタとスリット図を撮影したフィルム)を学生にまわし、実際に光の干渉を見てもらいました。最後はボーアモデルによるリュードベル定数の導出を演習問題として行い終了しました。来週は「量子化学への応用」です。
 今日はちょっと減って12人。最初プロジェクタが写らなくて困ったけど、書画カメラの方のケーブルを引っこ抜いて使ってなんとか解決。人数が少ないので眠っている学生がよく見えてしまう。眠るなんてもったいない!と思わせるような授業をしたいけどまだまだである。

教養演習2012量子化学入門01

 今日から教養演習量子化学入門の2年目が始まりました。今回のスケジュールは、最初の5回で量子力学の誕生から水素原子波動関数までの講義、残りの時間で波動関数や分子モデルのグラフ・CG作成PC演習になります。(去年の学生リクエストに答えてPC演習を大幅に増やしました。)今日は最初に講義のスケジュールと内容、評価の仕方等を説明し、「光の粒子性」についての説明を行いました。合間に光電効果コンプトン効果のメカニズムを解明したアインシュタインの経歴を紹介して、最後は光の運動量p=h/λを使ったコンプトン効果の式の導出してもらい終了しました。
 今日は予想していた人数より多かった(18名)ので、用意していた資料プリントが足りなくなってしまった。まだ様子見の学生がほとんどらしいので、来週は少し人数が減るだろう。最後の式の導出は微分などはなく式変形だけだと思って油断していたら、ほとんどの人が最後まで到達せず宿題になってしまった。「やっぱり受けません」と宣言して帰った学生が何人かいたが、このせいだったかもしれない。シラバスでは数学の前提知識必要なしとしていたので、もっと見回りを丁寧に行うべきであった。導出式の答えはプリントせずクイズみたいに隠しておくべきだった。来週は「原子の構造」です。

教養演習量子化学入門15(最終回)

 今日は涙の最終回。最初はタンパク質の分子模型図の作り方です。PDBのWebサイトから自分の好きなタンパク質のPDBファイルをダウンロードし、QuteMolというフリーソフトで表示して、gifアニメーションに保存するという流れで演習を行いました。そしていよいよ第一回水素原子波動関数大会です。提出してもらった課題を名前をふせて全員に配布し、自分以外の作品に点数をつけてもらいました。最後にそれらの結果を集計した順位を発表し、上位者を表彰して終了しました。ランキングの結果はそのまま提出課題の点数に反映させ、これまでの課題と合わせて成績をつけることになります。
 今日の反省ですが、題材に選んだQuteMolは比較的新しいPCでないとだめらしく、学生持参のノートPCではうまく動作しない人が何人かでてしまった。最後の最後で大失態。さらに学生が演習している間にコンペの準備をしようと思っていたので、最後は急ぎ足になってしまった。何より提出してもらった課題を私自身がじっくり干渉する時間がなかった。いろいろと甘かった。点数と一緒にコメントも書いてもらったのに紹介するのも忘れてしまった。何をやっているんだ。来年から課題提出は事前にメール等で提出してもらうようにするべし。もう一度今日の講義やり直したい。
 今日はアンケートをとり講義に対する要望・意見をいろいろ書いてもらった(はず)なので、結果を見て来年に反映させる!頭が新鮮なうちにアンケート結果を知りたかったのに、「結果に腹を立てて成績を下げる」なんてことがないように、成績をつけ終わった後に教員に渡すんだそうだ。一ヶ月くらい先。教員は信用されていないという現実にちょっとショックを受けたけど、当然のことですね。来年度のシラバス提出までには来るそうなのでおとなしく待とう。全15回講義のうち、10回を計算演習が少し入った板書・スライド講義、残り5回をPC演習に割り当てたけどPC演習の時間をもっと増やすべきだった。学生もそう感じているようだし。シミュレーションなども加えて、全部PC演習にするのも面白そう。学生との連絡手段も確保したい。学生との個別質問のやり取りが他の学生にも伝わり、確実に連絡がつく方法がいい。まだまだ改善点は多い。来年度はPCルームも確保してあるので、アンケートの意見をもとに講義内容を練り直そう。