教養演習量子化学入門09

 第9回目は回転の波動関数「球面調和関数Yl,m(θ,φ)」の説明から入りました。式の導出はせずルジャンドルの陪多項式を使った結果を示しましたが、虚数が入っているため図示できません。そこで縮重した波動関数の足し算と引き算で虚数部分を消去する方法を実際に計算してもらいました。その後Yl,m(θ,φ)の分布図をプリントで配布して説明しました。しかし球面上に分布しただけではまだp軌道やd軌道にはなりません。そこでrが変数として入ってくる水素原子の登場です。水素原子のSchrödinger方程式を解く手順【1原子単位の導入、2極座標変換、3変数分離、4球面調和関数(ルジャンドル多項式)、5動径波動関数(ラゲール陪多項式)】を先に説明し、原子単位のところで今日は終了しました。来週はいよいよ水素原子波動関数の実態が明らかになります。
 今回は配布プリントの作成に手間取ってしまい、ミスの多いものになってしまった。配布プリントは前日までに作っておくべし(反省)。授業の後、先日配布したルジャンドル演算子導出プリントのミスも指摘してもらった。教えてくれた学生は途中までやってみたとのこと。残りもがんばってやってみるよう勧めておいた。しかしこの後∂2/∂x2の恐ろしさを知ることになるだろう。彼が悶絶する姿を見てみたい、笑。
(2011.11.1)